配偶者居住権とは何ですか?
- 2023.09.15
A.配偶者居住権は、配偶者の居住権を保護するために特に認められる権利です。
配偶者居住権を取得することにより、被相続人の相続が発生した後においても、被相続人の配偶者の方が被相続人名義の自宅建物に権利として住み続けることが可能になります。
配偶者居住権とは、被相続人の配偶者(「配偶者」といいます。)が、被相続人の財産に属した建物に相続開始の時に居住していた場合において、
①遺産の分割によって配偶者居住権を取得するものとされたとき、
②配偶者居住権が遺贈の目的とされたときに、その居住していた建物(「居住建物」といいます。)の全部について無償で使用及び収益をすることが認められる権利(「配偶者居住権」)として取得する権利のことをいいます(民法第1028条第1項)。
配偶者が配偶者居住権を第三者に対抗するためには、配偶者居住権の設定の登記をすることが必要です(民法第1031条第2項、第605条)。
配偶者は、無償で居住建物の使用収益をすることができます。居住建物の所有者は、これを受忍するべき義務を負います。
配偶者居住権は、譲渡することができません(民法第1032条第3項)。
また、配偶者は、居住建物の所有者の承諾を得なければ、居住建物の改築もしくは増築をし、又は第三者に居住建物の使用もしくは収益をさせることができません(民法第1032条第3項)。
被相続人が生前、遺言により配偶者居住権を配偶者に遺贈することにより、配偶者の居住権を確保することができます(民法第1028条第1項第2号)。
また、相続発生後、被相続人の遺産の遺産分割において、配偶者居住権の評価額を適正に評価し、遺産分割によって配偶者が取得することによって、相続発生後の居住権を確保することができます(民法第1028条第1項第1号)。