当事務所が公正証書遺言をおすすめする理由
遺言の書き方・作成方法について
当事務所では、遺言を作成される場合は、公正証書遺言にすることをおすすめしています。
遺言には自筆証書遺言(民法第968条)、公正証書遺言(民法第969条)、秘密証書遺言(民法第970条)、死亡危急者遺言(民法第976条)などその他の遺言の種類がありますが、
法律的に有効で、かつ遺言を作成された方の“思い”や“願い”を最もよく反映させることができる遺言が、公正証書遺言となります。そのため、当事務所では弁護士と相談しながら作成する遺言書はもちろん、既に遺言を作成されている場合でもあらためて公正証書遺言にすることを弁護士に相談することができます。
遺言作成の流れ
当事務所では弁護士が遺言作成のご相談を受けた場合、まず遺言者となるご依頼者がどのような相続を望んでいるのか丁寧にヒアリングいたします。その後相続人の状況、財産の状況をお伺いし、どのような遺言書を作成するのが遺言者となるご依頼者の思いを実現できるのか、遺言者のためになるのかを検討いたします。
また、遺言を作成される際に相続税についてもご検討されると良いでしょう。遺言を作成する場合の相続税について知りたい方は、当事務所と連携している税理士、会計事務所から相続税の助言やシミュレーションを提案することができます。その後、または同時にそれらの全ての情報をもとに、弁護士が遺言書の内容・案文をご提案させていただきます。
もちろん以上のようなステップを踏まないで作成することもできます。
また、遺言書の内容はご自分でお考えになり、遺言執行者に就任してもらえるよう、遺言執行者の指定だけ弁護士に依頼することもできます。
遺言者となる依頼者の方、すなわち相続財産を遺される方が希望する相続となるよう、公正証書遺言を専門家である弁護士と一緒に作成するとよいでしょう。
以下では公正証書遺言作成の際の流れをご説明します。
1)相続人調査を行う。
遺言を書くに際して、相続人調査を行っていないケースがよくあります。「相続人が誰かくらいであれば分かっている」と思われるかも知れませんが、想定外の相続人が出てくるケースが意外とあります。
相続人の範囲を明らかにするために、遺言者が生まれてから遺言書作成時点までのすべての戸籍謄本を取り寄せるなどして、相続関係図を作成します。相続関係図を作成することで、まず、遺言書がない場合の相続である「法定相続」の場合のシミュレーションを行うことができます。
2)相続財産調査を行う。
相続人調査と並んで、相続財産調査を行います。相続財産のうち、件数として多くを占めることも多い不動産については、土地・建物の登記簿謄本を取り寄せて、名義人や担保権の有無などを見ます。さらに、預貯金、株式、債権、負債等、相続財産として把握できた財産をリストアップします。
3) 法律に配慮して、遺産分割の方法を記載する。
遺言書に書きさえすれば、どんな分け方でも出来る、ということではありません。たとえば、配偶者や子供など、兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分という権利を有しています。従って、遺言書を作成する場合、遺留分を侵害する遺贈がないかどうかなど、考慮が必要です。
4) 遺言執行者を指定する。
遺言書は作成するだけでなく、それが確実に執行されることが重要です。
当事務所では、公正証書遺言の作成を依頼された場合、当事務所の弁護士が遺言執行者になり、その遺言内容を確実に実現する業務を提供致します。
遺言を作成されるのであれば、確実にご遺志を実現されるために、専門家である弁護士にご相談の上、しっかりとした遺言を作成されることをおすすめいたします。
ここでは念のために、遺言書のうち、公正証書遺言、自筆証書遺言及び秘密証書遺言の作成方法について、その概要をご紹介致します。
【自筆証書遺言】
本人が、本文の全文・日付・氏名を自筆で書いた書面に捺印したものです。活字や代筆は認められず、自筆で書くことが必要となります(※遺言書を自筆で書くことについては、一部例外があります。自筆によらないで、財産目録を添付して遺言書を作成する方法が改正相続法により認められています(民法第968条第2項)。詳しくは、弁護士にご相談ください。)。
一見最も簡単ですし、すべてご自分だけで作成するのであれば費用もかかりませんので、手っ取り早いように思われるかも知れません。
しかし、専門家のチェックが入っていないことが多く、内容が不明確であったり、亡くなったあとに発見された際に、揉めてしまうきっかけにもなりやすかったりします。他にも形式が正しくないこともあり、その結果、せっかく書いた遺言が法律上有効とはならないおそれもあります。
もし自筆証書遺言を作成される場合は、ご自分でしっかり準備をされて、遺言書の有効性を確保すると同時に、相続人同士が揉めるような内容にしないことがポイントです。
【公正証書遺言】
公正証書遺言とは、公証人役場で遺言を作成する方法です。
〇本人が公証人役場に出向いて、
〇遺言の内容を公証人に口頭で伝えて(これを「口授」(くじゅ)といいます。)、公証人が遺言者が口授したことを証書に内容を記載し、
〇公証人が筆記した遺言書を遺言者及び証人に読んで聞かせて、又は閲覧させて署名・捺印してもらった上で、
〇公証人が、この証書が民法第969条第1号から第4号に掲げる方式に従って作成されたものであることを付記し、署名、押印すること
によって作成します。
公正証書遺言は公証役場にその原本が保管されているため、紛失や誰かによって破棄されたりすることを防ぐことができます。
また、家庭裁判所における検認手続も不要です。
基本的に方式や遺言者に意思能力があることは専門家がチェックするため、公正証書遺言が発見された際に無効になるようなことは少なく、自筆証書遺言と比較しても、より安全性が高く、紛争予防に確実な遺言といえます。
【秘密証書遺言】
公正証書遺言と同じように公証役場で作成しますが、遺言書の内容を密封して、公証人も内容を確認しないところが公正証書遺言と異なります。
〇遺言者が遺言証書に署名、押印し、
〇この証書を封じ、同じ印鑑で封印をします。この証書を公証人1人と証人2人以上の前に提出し、自分の遺言である旨を告げ、住所氏名を述べます。
〇それを公証人が封紙に日付と共に、遺言証書が提出された日日付を記載し、本人と証人と共に署名捺印して作成します。
秘密証書遺言は内容を秘密にでき、また遺言書の存在は公証人や証人が知るところとなりますので一見確実そうですが、遺言書の内容自体については公証人が確認していませんので、不明確な内容だったり、方式違反により無効となるおそれがあり、せっかく作った遺言が無駄になったり、遺言が不確かであることで、相続人同士で揉めごとになったりすることも考えられます。
また、自筆証書遺言と秘密証書遺言は、作成時点でその内容を本人以外に知られることがなく、プライバシーを守ることができますが、本人の死後に家庭裁判所で検認の手続きが必要となります。
検認の手続きは煩雑で、書類を用意する必要があり、準備に時間がかかります。日中お仕事や子育てをされている方でしたら、なかなか作業が進まなくなってしまう可能性があるのがデメリットです。
そういった検認の必要がないのは、公正証書遺言の場合だけです。
公正証書遺言を作成したいとおもったら
公正証書をいざ作りたい、と思っても、思いたったその日に1から10まで完成させることはできません。
公正証書遺言を作成するには、本人が公証人役場に出向いて作成することが必要です。
ただし、一般の方がいきなり公証人役場に出向いて遺言を作成しようとしても、日常の生活があるなかで行うことはなかなか大変なことと存じます。
そのため当事務所では、専門家である弁護士にご相談の上、公正証書遺言を作成されることをおすすめしております。